奇正とは?

孫子曰く
始終の日月、死生の四時は解し難し。 太陽出でて一日が始まり、月出でて一日が終わる。 
春萌え出でて生じ、夏茂り、秋実り、冬散りて死す。 共に始終有り、死生有り。
 然れども、その始終死生の端は何処に在りや。 その所在明らかならざるを以て、孫子これを挙げて端無きの真を示す。
 一日一年は常に巡りゆく。 終と思えば常に始まり、死すれば又た新たに生ず。
 自ずから然り、而して人の捉え方の大小に由りて、その始終死生もまた変ず。 奇正を兼ねるを之に比す、窮むるを得ざる所以なり。
 ただ人の、諸行無常に常有るを、察する者のみ知り得るか。